医学教育の臨床段階で共感性は低下するか?整骨医の学生

APA Hojat, Mohammadreza PhD; Shannon, Stephen C. DO; DeSantis, Jennifer MEd; Speicher, Mark R. PhD, MHA; Bragan, Lynn; Calabrese, Leonard H. DO Does Empathy Decline in the Clinical Phase of Medical Education? A Nationwide, Multi-Institutional, Cross-Sectional Study of Students at DO-Granting Medical Schools, Academic Medicine: June 2020 - Volume 95 - Issue 6 - p 911-918
doi: 10.1097/ACM.0000000000003175

 

https://journals.lww.com/academicmedicine/Fulltext/2020/06000/Does_Empathy_Decline_in_the_Clinical_Phase_of.39.aspx?context=FeaturedArticles&collectionId=8

 

<コメント>

Hojat先生の最新の論文です。

片岡仁美先生が留学されていたThomas Jefferson UniversityのResearch Professorで共感のJefferson Scale of Empathyが有名ですね。

※DO-grantingとはDoctor of Osteopathyで整骨医のことと思います。

 

<要旨>

目的
米国のDO-granting医学部の学生を対象とした全国調査において、医学部時代の学生の共感性の違いを検討すること。

方法
この横断的研究の参加者は、米国のDO-granting医学部48キャンパスのうち41キャンパスに在籍する学生10,751人(1年生3,616人、2年生2,764人、3年生2,413人、4年生1,958人)であった。彼らは2017-2018年度末に、「良い印象」の回答の偏りを測定するためのJefferson Scale of EmpathyとZuckerman-Kuhlman Personality QuestionnaireのInfrequency Scaleを含むウェブベースの調査を完了した。共分散分析を用いて、医学部の異なる学年の学生の共感力スコアを比較し、「良い印象」の反応バイアスの影響をコントロールした。また、米国の医学博士号取得医学部の学生の既存データとの比較も行った。

結果
医学部の前臨床期(1年目と2年目)と臨床期(3年目と4年目)の学生を比較すると、統計的に有意な共感力の低下が観察された(P < 0.001)が、低下の大きさは無視できる程度であった(効果量=0.13)。MD学生との所見の比較から、共感性の低下のパターンは類似していたが、低下の大きさはDO学生の方が顕著ではなかったことが示された。

結論
全人的ケアの提供、診断と治療への実践的アプローチ、患者中心のケアの重視など、DO-grantingとMD-grantingの医学教育システムの違いは、MDの学生と比較してDOの共感性の低下の相違のための最も妥当な説明を提供している。縦断的研究で共感性の変化を調べ、医学部での共感性の浸食を回避するための変化の理由を探るためには、さらなる研究が必要である。