コンフリクトマネジメント:研修中の医師のための入門書

Saltman DC, O'Dea NA, Kidd MR. Conflict management: a primer for doctors in training. Postgrad Med J. 2006;82(963):9‐12. doi:10.1136/pgmj.2005.034306

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2563732/

 

【コメント】

医療現場において、対立はよく起きます。その対立をどうマネジメントするか・・・ヒントが記されています。

 

【要約】

健康分野における対立は、増大する懸念事項であり、研修中の医師にとってもよく認識されている。その最も極端な表現である職場での暴力は増加傾向にある。多くの対立が満足に解決されないまま、または解決されないままであり、スタッフの士気を低下させる結果となっている。この論文では、ヘルスケアシステムにおけるコンフリクトの性質を説明し、コンフリクトと不一致の違いを明らかにする。コンフリクトマネジメントモデルを使用して、それが発生したときにコンフリクトに対処するための戦略を検討し、効果的にすべての当事者のために満足のいく解決にコンフリクトをマネジメントする方法についてのヒントが記されている。

 

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医師の主な対立原因

<技能>
・情報の不一致。
- ''あなたがくれた結果は間違った患者のものだった''
<組織>
・情報が不十分。
- ''目の前に患者のメモがない''
・情報過多。
- ''患者は大きなファイルを3つ持っています!''
<禁止環境>
・曖昧な管轄区域
- ''その問題について誰がサインオフしているのかわからない''
<技能と環境>
・曖昧な指示。
- 研修医から『そんなことをしてはいけないと言われた』
・コミュニケーションの壁。
- ''電話を返してくれない''
N未解決の過去の対立。
最終レポートについての信頼関係の問題を常に抱えている。
N未解決の過去の葛藤。
<優先順位>
"一つの組織についての依存"
- ''予算が下りるまで待たなければならない''

 

建設的な対立により生まれることは、
・成長が起こる
・問題が解決される
・グループが統一されている
・生産性が上がる
・コミットメントが増加する

満足に解決されない対立は一般的に破滅的で、
・否定主義的な結果
・解決案の消失
・グループの分裂
・生産性の低下
・満足度の低下

 

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対応策

<準備>
・現実的な目標を設定し、臨機応変に準備する。
・対立の背景にある状況を再確認する。
・あなたの行いによる影響を想像する。
・ミーティングの具体的な開始時間と終了時間をスケジュールします。
・ミーティングを保持するための中立的な地面を見つる。
・気が散ることを最小限に抑える。
・すべての人のためのブレイクアウトスペースを確保する。

<影響>
・最初の段階で係わり合いのルールに合意する。例えば、第三者を利用して、重要な問題の概要を説明する。可能であれば、解決のために時間枠を設定する。
・参加者が満足するようなことを発言できるようにする。
例えば、患者の良いケアなど合意のための共通点を定義する。
・未解決の相違点など、意見の相違を明確にし、曖昧さを回避する。
・小さな合意をみつけ、それを広げる。
・凍り付くようなコミュニケーションは避ける。例えば、個人攻撃や差し込み発言は避ける。
・合意点と進捗状況を強調する。
・仕事上の問題のための計画を発展させ、合意する。参加者のルールや課題を明確にする。
・継続的な課題をより明確な形で再定義する作業を行う。

<予防>
・対立の発生を防ぐためのベスト・オブ・オール・トライ